主人公、杏(あん)の12歳から26歳までの物語です。
両親の離婚で母、美和子の実家がある島根に来た杏。
最初は馴染めなかったけれど、
まもなく大悟、藤、椎香といった友達もできます。
しかしその年の冬、母親が自殺。
がんばり続けて壊れてしまった母。
「がんばって」と言ってしまった―――そのことに杏は深く悩み。
悲嘆にくれる彼女は大悟に励まされ、
そしてまもなく、彼と相思相愛になります。
大悟がいれば幸せだった少女時代。
しかし母親のトラウマは残り続け、彼女の心を蝕んでいました。
杏と大悟は互いを想いながらも、別れを選びます。
―――あいつの一番は俺やない、母親だ―――
力になってやりたかった。
いつまでも「俺がいれば大丈夫だ」と言えると思っていた。
月日は砂になって流れ落ち。
その砂を止めたい―――そう思った彼女の答えは。
―――美和子が、杏を連れて行ってしまう―――
おばあちゃんの悲痛の叫び。
ここらへんで、泣いた。
色々思ったけど、最後はやっぱり良かったよ。
さて、以下は勝手な思考垂れ流しです。
台詞は覚えてるわけじゃないので、ニュアンスだけ。
少女マンガ好きを自負していて、
いっそ乙男に共感しちゃって、
それでもやっぱり自分は男で、
少女マンガの展開に納得できないこともあるんだと、
気付いてしまった。
藤くんのこと、ほんとに好き。
でも、好きだけど、嬉しいけど、でもやっぱり、
私は大悟のことしか考えられない。
ごめんなさい、私はどうしても大悟が好き。
女の子は、どんなに理屈で分かっていても、
最後の最後に感情がそれを拒絶する。
藤が気の毒すぎる。
椎名軽穂「CRAZY FOR YOU」でも
主人公に対して赤星くんが同じ展開を見せるんだけど、
紳士に真摯に真正面からぶつかり続けても、
―――ごめんなさいやっぱり私あの人が好きなのどんなに想っても叶わないって分かってるけどあなたの方がずっと素敵なのも分かってるけどそれでもダメなのこの気持ちだけはどうしても制御できないの
……ずるいよ。
そんな風に言われたら、男は何もできないじゃないか。
藤も赤星くんも、最後まで報われない。
頑張っていい男になればあるいは、とかじゃないんだ。
どんなに頑張っても届かないから。
諦めるしかないんだよ。
藤の台詞が、重すぎる。
杏は最後にハッピーエンドを迎えたけれど、
ほんの少しの儚さを感じた。
ちなみに、赤星くんの報われなさはひどいよ。
……色々言ってるけど、少女マンガは好きだよ。
これからも読み続けると思う。
椎名軽穂「君に届け」がイチオシ。これはガチ。
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