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「ミミズクと夜の王」
著:紅玉いづき
第13回電撃小説大賞<大賞>受賞作。
3年前の電撃小説大賞で有川浩の「塩の街」に出会いました。
その後ライトノベルを読むことは減ったけれど、
その出会いのおかげか、この大賞だけは毎年気になってました。
そして今年、ライトノベルと呼ぶにはあまりに異色な作品。
その異色さ、どこか「塩の街」に似たものを感じました。
紀伊國屋で買って、帰り道で読みました。
両手両足を、鎖で繋がれた少女「ミミズク」。
額に「332」と刻印された、彼女は奴隷だった。
物心がついた頃には、既に人としての生活は送っていなかった。
そして「村」の内乱で自由になった彼女は、
外れぬ手枷をつけたまま夜の森へと赴く。
そこで出会った、魔物の森の王「夜の王」。
―――あたしのこと、食べてくれませんかぁ。
魔物に食われて美しく死ぬことを望む少女。
そして、人間を拒絶する夜の王。
ふたりの不思議な関係が生まれる。
場所は変わって、森に近接する一国は魔王退治に動いていた。
国のため、魔王の持つ魔力を欲する賢王。
剣士であるには優しすぎ、厳しすぎる聖騎士。
両手両足が不自由な王子。
―――魔王に囚われた少女を救い、国に繁栄を。
優しすぎる登場人物たちに、終始心を打たれた。
そして最後の最後の、救いの場面。
ベタと言ってしまえばそれまでだが、
あまりにまっすぐな、美しすぎるラストシーン。
やっぱり自分は、これに弱いんだよなぁ。