今日は本の紹介をしようかと。
「海の底」
有川浩先生の3作目です。
今は「図書館」シリーズが熱いのですが。
そんな中、あえてこの作品を紹介。
俺は、この作品に一番のめりこんだので。
3回は読んだかなぁ。
帯の宣伝文句を引用すると。
春、寧日。天気晴朗なれど、波の下には不穏があった。
横須賀に巨大甲殻類来襲。
食われる市民を救助するため機動隊が横須賀を駆ける。
孤立した潜水艦「きりしお」に逃げ込んだ少年少女の運命は!?
海の底から来た「奴ら」の名は―――レガリス。
とまぁこんな話ですハイ。
けっこうエグイ描写もあるので、エビとかザリガニが怖くなるかも。
怪獣モノと青春ドラマと恋愛ドラマと、ちょっと本気で考える問題と。
詰め込みまくって、大風呂敷を広げて。
最後の最後に綺麗な形でまとまる作品の妙を、感じてほしい。
書いてるうちに長くなったので、追記で。
俺のレビューなんかでよろしければ、どうぞ。
ネタバレはかろうじて避けています。
最初のキーワードは、この国の自衛隊問題。
怪獣の来襲なんて、想定するはずもないから。
災害でもないし、戦争でもないから。
しかも、場所は軍事機密の米軍基地もある、横須賀。
自衛隊が出動できない。
しかし、奴らはヒトを食う。
一般人は奴らへの対抗策を持たない。
となれば、警察の管轄である機動隊が出るしかない。
拳銃や催涙ガスで巨大ザリガニに立ち向かうって、そりゃ無茶でしょ。
機動隊の限界。自衛隊を出すしかない。
しかし、それでもなお遅延する政府の対応。
自衛隊を引っ張り出せ。
現場の、警察上層部の、男たちの熱い戦い。
題材はB級映画みたいだけど、この国の問題もはらんでるから。
けっこう考えさせられるよ。
そして、メインの舞台は潜水艦「きりしお」の中。
夏木と冬原、二人の海上自衛官。
奴らに襲われる子供達を救助、逃げ道を探して潜水艦の中に逃げ込む。
しかし外は巨大ザリガニの大群で、完全に閉じ込められてしまう。
この子供たちが曲者揃いで、青春ドラマ仕立てで……
女の子も一人いて、それゆえの問題もあり。
そして身勝手で我儘な奴なんかもいて。
そんな中、夏木と冬原がとにかく大人で、格好いいんだ。
有川作品の魅力は、「魅力的な大人」の描写。
こういう大人になりたいと、切に思う。
「塩の街」の秋庭・「空の中」の春名。
「海の底」の夏木・冬原。
「図書館戦争」の堂上・小牧。
それぞれが熱血系と、クール系。
自衛隊三部作で、春夏秋冬が揃ってる。
この事実に気づいたときは、感動したもんだ。
そして。
最後の最後に残されたオチ。
ベタと言えば、究極にベタなドラマ。
それでも、想像できなかった結末。
なんてハッピーエンド。
これが、この作品を一番にする理由。
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