一日二度の投稿は避けていたんだけど。
この話題だけは、今でないとダメなので。
「紹介」カテゴリで行かせてもらいます。
前のブログでも紹介してるけど、気にしない。
それだけの理由が今ならある。
「図書館内乱」とのコラボレーション企画で、
新潮社から出版された「レインツリーの国」。
今回紹介したいのはこの本です。
一言で言えば、主人公「伸」とヒロイン「ひとみ」の恋物語。
忘れられない本がきっかけで、ネット上で知り合った二人。
メールを続けるうちに、会おうと言い出した伸。
しかしひとみはその提案を渋り続けた。
あなたを想う。
心が揺れる。
でも、会うことはできません。
ごめんなさい。
(帯より)
彼女の秘密は、「聴覚障害」。
―――何で俺に耳のこと教えといてくれへんかってんって。
―――ハンデなんか気にするなって言えるのは、ハンデがない人だけなんです。
伸のやり場のない憤り。
ひとみの悲痛の訴え。
ものすごく心を打たれます。
有川作品から「飛び道具」をはずすとこうなります。
俺は、彼女の描く「人間」が、すごくいい。
さてレビューは中途半端な気がしますが、本題。
何故こんな昨日の今日で「紹介」って。
衝撃的な偶然に突き動かされて、勢いだけで。
こういうのは書く気になったときに書かなきゃダメだなと。
この本の中で、関西人の主人公「伸」は
『バラエティの必要以上に表示されるテロップを嫌っていた』
というくだりがあって。
『ここで笑え、というツボを強要されているようだ』
『面白さを画一化されている気がする』
と。
多分そう思ってる人、すごく多い。
でも。
聴覚障害を持った人にとっては、
特に、後天的に聴覚を失ってしまった人にとっては、
健聴者と同じようにテレビ番組を楽しむために必要なものだった。
それに気付いたときの伸の台詞とモノローグ。
―――世の中、無意味なもんなんか何にもないねんなぁ
―――無意味に見えるのは自分の立場で見るからで、それが必要な人がいるということを突き詰めて考えたことはあったのか向坂伸行。
健聴者の感覚でひいた物差し。
伸は、ひとみのことで初めて気がついた。
なんか、サイゼでその話をしてしまったんだ。
なんでそんな流れになったのかわかんないけど。
そうしたら。
なんという偶然か、その少し後に隣のテーブルに来たグループが。
まさに聴覚に障害を持った人たちだった。
自分の世界とはまったく縁がないであろう人たちで。
本を読まなければ、今後も知ることはなかったはずのことで。
そもそも知らなければその人たちに気付いたかどうかも怪しい。
「初めて見た」と思うのも、今まで気付かなかっただけじゃないか。
自分の世界の小ささを思い知らされた、出来事。
健聴者の感覚で引いた物差し。
障害に限らず、多分そんなものいくらでもある。
自分の物差しで測れないもの、たくさんあるんだろうな。
俺は、すぐに自分の物差しを引いてしまう人間です。
そのせいで何度失敗したことか。
何故他の見方ができなかったのか。
ほんの少しの配慮ができなかったのか。
悔やんでも悔やみきれない出来事も、ある。
学んだことを、次に生かせるか?俺。
頑張れ。
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